以前、ニーチェの思想を紹介する漫画を読んで興味を持ち、別の入門書も読みたいと思っていました。

 「まんがでわかるニーチェ」(白取晴彦)

 

 ニーチェは、世間で通用している常識、道徳が誤りであり、虚偽であることを暴いています。ニーチェが暮らしていた19世紀のヨーロッパは、キリスト教の世界でしたが、そのキリスト教を徹底的に断罪しています。

 イエス自身のことは一定の評価をしていますが、イエスの死後、弟子たちが、イエスが死後に復活したとか、マリアの処女懐胎とか、あの世の楽園だとか、嘘八百を並べて勢力拡張を図ったということです。この欺瞞が、博愛とか復讐の禁止を掲げながら、数多の戦争を起こす根本的な原因のようです。

 

 キリスト教自体は、一般的な日本人にはあまり関係ありませんが、キリスト教的な考え方が現在の多くのイデオロギーに姿を変えており、影響を受けざるを得ないのです。現在の世界は、西洋的な思想が基本になっており、その土台にはキリスト教があります。民主主義も、社会主義も、平等主義も・・・。

 

 ニーチェの思想の中心に、「パースペクティブ」という考え方があります。すべての認識は、パースペクティブに基づく、世界は認識する者の視点で成り立っているという考え方です。つまり、絶対的、客観的な真理などないことになります。

 この考え方は「諸法無我」という仏教の思想に極めて近いもので、事実、ニーチェは、仏教を高く評価しています。

 

 ニーチェの考えは、唯一の神など信じていない日本人には理解しやすく、親しみやすいものです。私も、かなり共感を覚えます。ただし、民主主義などに対する批判については、あれは強者に対する弱者の「ルサンチマン」に基づくものだということまでは同意できるのですが、否定してしまうことには躊躇を覚えます。

 その辺、機会を見てもう少し詳しい解説書を読もうと思います。

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